《めてみみ》春の七草

2022/01/07 06:24 更新


 せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ――春の七草を全て覚えている人も多いだろう。せりやなずなはなんとなく分かるのだが、はこべらやほとけのざとなるとどんな野菜かよく分からない。すずなとすずしろがカブと大根であることも改めて知った。

 今日7日は、七草粥(がゆ)を食べる風習がある。邪気を払い万病を除くものとして食べるが、おせち料理で疲れた胃を休め、野菜が乏しい冬場に不足しがちな栄養素を補う意味もある。新型コロナウイルスの変異株が世界的に広がる中、風習とはいえ、七草粥を特別な思いで食べた人もいるだろう。

 厚生労働省の報道資料を振り返ってみると、2年前の今日、中国・武漢市での原因不明肺炎発生の第2報が発表されていた。中国のある特定の地域の病気と思われていたが、他の国でもすでに感染が広がっていたことが現在では分かっている。当時は中国人の野生動物を食べる習慣と謎の肺炎を結びつける報道がなされ、欧米各地でアジア人バッシングも見受けられた。

 中国人の食習慣と新型コロナの因果関係は未解明だが、パンデミック(世界的大流行)の状況において、時に報道はパニックを引き起こす。そして人々に差別や偏見、分断を持ち込むことがある。年の初めに改めてそれを肝に銘じて、報道に臨みたい。



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