《めてみみ》最適なサービス

2021/12/08 06:24 更新


 昨今はフェイクグリーンと呼ぶらしいが、人造の観葉植物を買いに生活雑貨店に出掛けた。程良い枝ぶりの商品を見つけ、レジまで運ぶ。いざ支払いの段になると、係員いわく「これはお売りすることはできません」。

 備品であり、売り物ではないらしい。値札が付いてあると指摘すると「値札を付けたのは当方の間違い。今、在庫がないので、ECでご購入下さい」。送料がかかると言うと「○○円以上は無料です。すぐ配達可能なので、ぜひご利用を」と勧める。

 思わず、ちょっと待ってと声が出た。顧客が現品を欲しいと言うなら、何とかしようとするのが普通ではないか。備品がなくなると困るなら、後で社内で融通すれば良い。経理的に備品と販売用商品を分離せねばならない理屈もわかるが、どうも納得がいかない。そもそも値札を付けていた店側のミスから起こった話である。

 何よりも、型ではめたようなマニュアル式の受け答えが気になった。店にないならECでという単純な会話には、客への気遣いは感じられない。OMO(オンラインとオフラインの融合)が時代のキーワードであるのは確かだが、前提にあるのは、あくまで客に「最適なサービス」を提供するということ。特異な例だったのかもしれないが、OMOを語る前に、商売人としての本質を忘れないで欲しい。



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