ウガンダに直営工房を持ち、現地のシングルマザーや元子供兵などを雇用して物作りをするエシカル(倫理的な)なバッグや雑貨のブランド「リッチーエブリデイ」に、現地の材料や職人技を生かした「ナウォロヴ」というラインがある。ナウォロヴはカメレオンの意味で、現地のことわざの「ゆっくり始めれば遠くまで行くことができる。カメレオンもやがて町へたどり着く」から名付けた。
カメレオンというと、環境に応じて体の色を変える能力があり、周囲の変化への対応力が高い動物というイメージだった。ゆっくりとでも前進を続け、最後には大きな目標を達成する。これまでにないカメレオンのイメージだ。
今、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献やサステイナブル(持続可能な)社会の実現、循環型経済への移行などへの取り組みが、各企業に求められている。さらに人権課題の解決やジェンダー平等の実現、働き方改革など、中長期的な視野で取り組まなければならない課題は多い。
目の前の厳しい業績の中で、こうした課題のどこから手を付けたらよいか悩む経営者も多いのではないだろうか。日々や週単位、月単位、四半期ごとの業績のように早急に結果が見えないかもしれない。ただ、ゆっくりでも着手しなければ結果は出ない。言い方を変えれば、進んでいる限りはいつか結果が出る。