《めてみみ》ライフスタイルを主張するもの

2021/02/19 06:24 更新


 家ナカ需要が続いている。緊急事態宣言の再発出で、都心部の百貨店・ファッションビルの1月の売上高は、20年12月よりもほぼ10ポイント以上減収幅が拡大した。前年同月比で半減した施設も多い。それでも、観葉植物や食器、デスク回りのインテリアなどは堅調だ。

 一方で、お出かけ着を中心とする衣料は芳しくない。衣料消費は気温に左右されると言われる。寒暖差の大きい今冬は、衣服消費にとってプラスなのかマイナスなのか。判断が難しいが、コロナ下の消費傾向を見ていると気温よりも着用するシーン(場面)が重要ではないかと改めて思う。

 キャンプ人気などでアウトドア関連商品が好調なのは、その事例の一つ。外出自粛要請や密を避ける状況下で、入卒園や結婚式などのオケージョン対応の服やドレスが鈍いのも、シーンの減少が見込まれるからだ。かつてのスニーカー人気も、ジョギングやランニングに対する需要拡大がきっかけだった。旅行やデートなど、それぞれシーンに応じた服の需要がある。

 コロナ禍次第ではあるが〝巣ごもり消費〟がいつまでも続くとは思えない。家ナカを快適にする購買行動も永遠のものではないだろう。今後、消費者がどんなライフシーンを望むのか。「自分のライフスタイルを一番主張するのは身にまとう服」。年末に聞いた言葉が心に残る。



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