《めてみみ》ジェンダーに立ち向かう

2021/01/12 06:24 更新


 型紙は一つだけでサイズも同じなのに、身長が異なる男性でも女性でも着られる服を作った愛知県岡崎市のアバンダンティズム。サステイナブル(持続可能)なファッションを追い求めるなかで生まれた。在庫生地を仕入れて作る服は、たくさんは出来ないが、店の客やSNSで注文が広がった。

 性別を超えて自由に着られる点ではジェンダーレスな服と言えるが、定義付けるのは難しいし、あまり意味のあることでもないだろう。他にもアパレルメーカーからジェンダーレスをうたったブランドが出ているが、狙いや考え方は一様ではない。何か新しい物を出さなくてはとか、世の中の流れだからとかというのでは心に残らない。

 フェイスブックで女性初の役員となったシェリル・サンドバーグ氏の著書『リーン・イン』を読んで驚いた。69年に米国で生まれた女性に、こんなにも厳しい社会だったのかと。ジェンダーに立ち向かい、子供を育て、働く姿は単にキャリアを積み上げる成功譚(たん)ではない。

 日本の繊維・ファッション業界はどうだろう。改めて書くのを差し控えたくなるほどの女性管理職の少なさ、企画職や販売職として働く多くの女性に対する待遇の悪さなど。改善に努力している企業があるのは承知しているが、ジェンダーレスを掲げ、追求する企業がもっと増えていいはずだ。



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