《めてみみ》可能性の扉

2020/11/26 06:24 更新


 「日本製だから売れる」。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)香港法人の竹内三善社長は、セミナーで何度も繰り返した。

 同社は日本製を軸にしたアジア向け業態「ドンドンドンキ」の出店を東南アジアや香港で進める。厳しい小売り環境の香港でドンドンドンキは昨年1号店を開店。すでに5店に増え来月には新業態も出す。

 店を見て驚いた。商品の大半が生鮮・食料品で、香港人が牛肉やすしをあさるように買っていた。絶好調の理由を竹内社長は、「他よりも安くて新鮮でおいしいを突き詰めたから」と説明する。香港では食品を含め日本商品は揃う。しかし「価格が高い」。これを解消すれば「安心、安全で定評のある日本の生鮮品にはすごい可能性がある」と見て、生産者とネットワークを築き、物流改革を進めるなどで課題を克服し、進出した。

 雑貨関連やインテリア用品、靴下などもニーズが高いという。しかし他社がまねて安くしても売れるとは限らない。タイで訪れたドンドンドンキは香港とはまた少し違ったMDだった。現地の人に今、〝刺さる〟コンテンツをつかんだ上で、課題を克服し売れる環境を作り出すようだ。

 繊維・ファッションでもできることはまだある。分析力と「無理」と決めつけないことが可能性の扉を開く鍵になる。



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