《めてみみ》攻めと守り

2020/11/19 06:24 更新


 商社のファッションアパレルOEM(相手先ブランドによる生産)事業が厳しい。コロナ禍でアパレル店舗が休業、その後もファッション消費の回復は鈍く、4~9月の各社の衣料品OEM事業は前年同期比で20%前後の減収だった。

 「日本のアパレル市場は今の半分ほどに減る可能性がある」「今のOEM事業は5年後はあるかもしれないが10年後はないだろう」と危機感は強い。この減少を補う柱を急いで作らねばならない。

 そんなことは以前からわかっていた。だからこそこの間、様々な新規事業やM&A(企業の合併・買収)、出資などを進めてきたのだ。しかし新しいことには失敗はつきもの。そう簡単に次の柱は育たない。じっくりと腰を据える必要がある。が、コロナで尻に火がついてしまった。

 DtoC(メーカー直販)事業をはじめ、ヘルスケア分野や非繊維分野の拡大など各社、新たな案件をいくつも仕掛けている。ある商社マンは、「新しいことを始めないと社内で全く評価されない」と困惑していた。

 今後を考えると新しい事業の創出や新販路の開拓、事業領域の拡大などは避けては通れない。しかし既存事業を守り、チャンスがあれば拡大することも非常に重要。しっかりした守りがあればこそ攻められる。若い力だけでなく、中堅、ベテランの底力も必要とされている。



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