「離れられないように粘着度を高めていくことが大切」。阪急阪神百貨店の山口俊比古社長が強調している。「密着」ではなく「粘着」だという。四六時中ピタッと寄り添うような密接な関係でなく、少し離れる時もあるが、最終的に「離れられない」関係を想定しているようだ。
OMO(オンラインとオフラインの融合)の営業スタイルの確立を目指している。その重点施策の一つが「顧客の体験価値の改善継続」。いわゆるリピーターを創出していくイメージだろうか。人と物、それとオン・オフを含めた器の三位一体で粘着度を高める。
ルクア大阪を運営するJR西日本SC開発は、販促策の一環として、消費者のため息(悩みや願望)の解消に取り組んでいる。その代表例が期間限定店「妄想ショップ」。今秋も複数を立ち上げている。販促グループ内にトキメキ事業部も創設した。
両社に共通するのは、カードポイントとは違う顧客作りの重視だ。長年、「顧客の囲い込み」策と言えば、自社カード会員の獲得と利用頻度の向上策が一番だった。しかし、ポイント連携やポイント経済圏の覇権争いにより、サービスの差異化は薄れていくだろう。そもそも、カード会員=顧客でいいのだろうか。ポイントアップなど「お得」以外の施設価値の提供が今後、一層問われてくるように思う。