百貨店の営業時間短縮、店休日の増加について、両業界団体間で話し合いがもたれた。日本アパレル・ファッション産業協会(アパ産協)の要請で、日本百貨店協会の業務改善委員会の場で意見交換したが、結論に至らなかった。
百貨店の販売現場は90年代半ばから、営業時間が長くなり、休業日が減っていた。1日の営業は通常10~11時間で、時短は人件費削減や販売職の環境改善のためには避けられない課題だ。8時間の営業で一直(開店から閉店までの勤務)になれば、従来のシフト編成が必要なくなる。顧客がいつ来店してもなじみの販売員が売り場にいる体制になる。
コロナ禍による休業後、時短営業(午前11時~午後7時)した期間は一直となり、「モチベーションが上がり、全社・店舗の一体感が生まれた」(大手百貨店)。店頭要員も通常の6~7割程度の出勤率でカバーできた。百貨店、取引先の双方で利点が多い。
しかし、「売り手だけの論理で良いのか。お客様のニーズはどうなのか」との慎重論が根強い。取引先も「テナントとして家賃を払っており、営業時間は長くしてほしい」など各社一様でない。百貨店も店舗の営業条件が賃借か自前かで時短の考え方の格差が大きい。最適の解は難しいが、長時間労働の解消は百貨店、アパレルの共通の課題であると忘れてはならない。