本紙・1月1日付の「繊維・ファッション関連企業の経営トップアンケート」で、今年の国内の繊維・ファッション市場の見通しについて大半の経営者が「横ばい」(60%)、「落ちる」(32%)と答えた。「伸びる」はわずか6%。
アパレルや百貨店で伸びるとした企業はなく、今年も事業変革の模索が続きそうだ。伸びると答えた中では東京五輪に期待する声が多い。昨年のラグビーW杯が予想以上に盛り上がり、五輪に期待が膨らむ。
繊維団体の新年賀詞交歓会でも「今年は厳しい」との声が多かった。しかし、「日本市場は縮むが世界でみると繊維は成長産業」と国外に活路を見いだす意欲は強い。世界で戦うための一つの切り口が、再生ポリエステルなどを活用した環境に配慮した商品や取り組み。こうした商材で「日本ならではの技術力の高さ」を生かす考えだ。「サステイナビリティー」(持続可能性)が世界中のキーワードになり、どの地域でも通用する独自性、強み、ブランディングが必要になる。
商品開発が第一という経営者も多い。「見たことがない」「使ってみたい」商品や素材の開発に尽きるとの意見も。五輪をきっかけにしたインバウンド(訪日外国人)消費のさらなる取り込みも重要だ。話すうちに表情が少しずつ明るくなってくる。できることは、まだたくさんある。