《めてみみ》“一人称”への期待

2019/12/20 06:24 更新


 都市部を中心にホテルの開発ラッシュが続いている。インバウンド(訪日外国人)を含め、観光需要への期待があるからだ。新規参入も多いようで見慣れない名前のホテルも数多い。シンプルなビジネスホテルタイプだけでなく、個性的なホテルも増えている。

 今月オープンした京都・河原町の「グッドネイチャーステーション」もその一つ。健康・美をテーマに、ホテルとコスメや食などの物販、レストラン、ビューティーサロンなどで構成する複合施設で、ほとんどを直営で運営する。施設コンセプトを貫くためには自社社員による運営が欠かせないとの考え方で、「食・美・泊を一人称で提案する」という。

 ホテルチェーンが店舗網を広げる半面、個性的なホテルも目立つのは、やはり嗜好(しこう)の多様化が進んでいるからだ。「とにかく泊まれればいい」人もいるだろうが、そこでしか味わえない料理や景色、部屋やサービスの快適性など特別な体験価値を重視する人は増えている。

 ホテル業界とは違い、我が業界のファッション需要拡大への期待は乏しい。とはいえ、嗜好の多様化への対応は欠かせない。コスト削減や効率化に向かうだけでなく、人・モノ・器を〝一人称〟で提案する個性的な店や施設を作る前向きさが、ファッションの新たな需要を創造するように思うのだが。



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