《めてみみ》募る不安

2019/11/26 06:24 更新


 消費税率が10%に引き上げられ、消費が冷え込んでいる。百貨店は9月に駆け込み需要で一時的に上向いたが、10月以降は一転して減収を強いられている。衣料品は10月の2割減に続き、11月は5%超の減少。駆け込み需要が少なかった商品まで「反動減」に直面する。

 夏まで、百貨店の経営者は「食料品の軽減税率などで今回は駆け込み需要が少ない」と見通していた。しかし、9月に入って高額品や定期的に購入する物や、この先に必要となる商品の先取り買いが顕著で、売り上げが2割増えた。その反動が一気に表れた。

 都内百貨店では「反動減は覚悟していたが、駆け込みが想定以上だった分、落ち込みが激しかった」という。10月はさらに「台風19号による営業時間減で2~4%の減収」や気温が高かった影響も出た。三越伊勢丹は「想定外の減収分は台風で30億円、消費増税で10億円となり、下期に新規施策を打って増収を確保する」という。

 14年春の8%となった消費増税時は「3カ月ほど反動減を強いられたが、その後は元に戻った」。右肩上がりだったおせちの受注は好調な滑り出しだったが、ここにきて足踏み状態。目前に迫る年末年始商戦まで影響が長引けば、「消費マインドが弱いだけに、増税による消費の冷え込みがいつまで続くか心配」。不安は募るばかりだ。



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