広大な売り場で目当てのものを探そうと、場所の目星をつけて歩き出すのだが、たいていは外れ、延々と歩き回ることになる。店の人に尋ねれば連れて行ってくれるが、一人迷いながら歩き回るのも様々な発見がある。人によってそれを楽しいと思い、別の人は時間のムダと思う。
経済が右肩上がりの時代は、探しやすさ、見やすさが第一とされた。忙しいお客は、何がどこにあるのか見つけやすいことを求めた。一転して今、どこに何があるのか、すぐには分からない売り場が広がる。商品が高い棚に詰め込まれ、棚の向こう、通路の先に何があるのか分からない。経済が成熟し、先の見えない混沌とした状況と無縁ではない。
かつてのGMS(総合小売業)の、特に衣料や住関は、壁面まで見渡せ、キャッチボールができるほどの広い通路が特徴だった。その対極にあるのがドン・キホーテ。商品を積み上げる圧縮陳列は通路が狭く見通しが悪いが、お客によっては宝探しの面白さを喜ぶ。
ユニーはそのドンキ流へ、GMS店舗の転換を進めている。転換後はヤングや30代が来店するようになった半面、従来顧客のシニアは買いにくいと感じるのか、足が鈍っているといわれる。呼び戻すには、シニアにとってのお宝を探り出し、売り場に散りばめること。宝がなければ、探検には踏み出さない。