《めてみみ》インドの嘆き

2019/11/07 06:24 更新


 ASEAN(東南アジア諸国連合)や日本、中国、韓国、インドなど16カ国が13年から交渉を続けてきたRCEP(東アジア地域包括的経済連携)が年内の最終妥結を見送った。インドが関税撤廃などで慎重な姿勢を崩さなかったためだ。さらにインドは撤退する意向も示したため、今後インドの参加を促しながら残りの15カ国は来年の署名を目指し協議を続ける。

 16カ国が参加すれば世界の人口の半分、貿易額の3割、国内総生産でも3割を占める巨大自由貿易圏が誕生するはずだった。日本にとっては中国が入っているインパクトが大きい。アパレル生産が中国から東南アジアやバングラデシュなどに移る中、RCEPが実現すれば引き続き中国で行う判断も出てくるだろう。

 インドが離脱の意思を示したことは理解できる。タイの繊維団体や日系繊維企業に取材すると、米中貿易摩擦の影響で行き場を失った中国の糸や生地が投げ売りに近い価格で大量に流入し、繊維産業が大きなダメージを受けているという。ある素材メーカーは「定番品が一気に競争力を失った」と嘆く。

 インド産業界が中国品のさらなる輸入増加を恐れるのは当然だ。中国品の流入で自国産業に影響が出ている東南アジア諸国は多い。これを機にRCEPの枠組みが崩れたり、さらに離脱する国がでてくる可能性はある。


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