《めてみみ》ギリシャの白い線

2019/10/16 06:24 更新


 ギリシャと聞くと地中海に浮かぶ紺碧(こんぺき)の島々が思い浮かぶが、実は農業が盛んで、世界有数の綿産国でもある。日本との関係も意外に深く、米国や豪州、ブラジルなどと並んで、日本はギリシャの綿花を多く輸入している。かさ高性や吸水性に優れ、タオル用途などに向く。

 バルカン半島の内陸部を走れば、綿花畑が一面に広がる。秋の収穫期ともなれば、道路沿いに何十キロもの白いラインが引かれるようになる。実は収穫後の綿花を運ぶトラックが落としていった綿が少しずつ路肩に積もったもので、初秋の風物詩にもなっている。

 英国の離脱問題をはじめ、EU(欧州連合)危機は混迷の度を深めるばかり。思い返せば、EU危機の発端はちょうど10年前の秋、ギリシャの財政赤字の粉飾問題が発覚してからだった。ギリシャが引き金を引き、ポルトガルやスペインなどの財政問題、複数の有力銀行の破綻など、今やEUの危機は世界経済全体に大きな影響を与えている。

 財政赤字を少しでも減らしたいギリシャにとっては、綿花輸出も外貨獲得手段の一つだろう。仮に道路沿いの綿花を拾い集めたなら、大型トラック何十台、何百台分にもなりそうな膨大な量である。延々と続く路肩の白いラインを見ながら、秋の風物詩と楽しむよりも、大事な綿花が無駄になり財政再建も遠のく気がしてくる。


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