《めてみみ》香港人の悩み

2019/09/18 06:24 更新


 香港のデモが本格化して16日で100日が経過した。14年の雨傘運動は79日で鎮圧されたから、かなり長い。雨傘の時は、幹線道路を封鎖し続けるなど市民生活への影響が大きく、デモが長期化する中で市民の心が徐々に離れた。

 今回は小規模な衝突は日常的に起こるが大きなデモは週末に集中。SNSで呼びかけ、リーダーもわかりづらい。5年でデモの手法が大きく変わった。

 経済への影響が大きくなってきた。8月に香港を訪れた観光客数は、デモ隊による空港占拠などが響き、前年同月比で約40%減った。

 一番の懸念は収束の形が見えないこと。4日に香港特別行政区のキャリー・ラム長官が逃亡犯条例改正案の完全撤回を表明したが、「あまりに遅すぎる」と鎮静化に向かっていない。デモ隊は民主的選挙の実現など「五つの要求」を掲げ、全てが受け入れられるまで戦う構えを見せる。

 しかし、地下鉄の駅が襲撃されるなど暴力も目立ってきた。経済界や年配者を中心に、早期の収束を望む声は強い。「不況になると今の生活、明日の職に困ることになる。しかし若者が香港の将来に不安を抱き、怒る気持ちも理解できる。どう収束すべきだろうか」。香港人も悩んでいる。中国で建国70年を祝う国慶節が10月1日に迫り、緊迫度が高まる。武力による制圧だけは絶対にあってはならない。



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