今週末、中国は中秋節の3連休となる。先週あたりから地下鉄の中でも、月餅の紙袋を持った人を見掛ける機会が増えた。背広を着た会社員風の男性が両手にたくさんの紙袋を持っているのにも遭遇した。街中では、予約した月餅を受け取る長い行列ができている店もある。
スーパーにも月餅が並ぶ。試しに一つ買ってみた。真ん中から切ると、餡(あん)の中にアヒルの卵黄の塩漬けが入っていた。ちょうど夜空に月が浮かんでいるように見える。周りの若い中国人に聞くと、家族と食事には行くが月餅は食べないという人が意外に多い。
理由を聞くと、ほかにおいしい食べ物がたくさんあるからとの答えが返ってきた。確かに、行列に並んでいたのは年配の人が多かった。百貨店の地下食料品売り場へ行くと、様々な月餅が販売されている。若い女性を意識したのか、カラフルな色を付けた物やフランス菓子風の物まで様々だ。カラフルな月餅を見ていたら、昨年の中秋節に月餅型せっけんを頂いたのを思い出した。
帰社してみると1通のメール便が届いていた。封を開けると欧州の有名アイスクリームメーカー製の月餅交換チケットが入っていた。急速に近代化が進む中国だが、その一方で伝統的な風習も数多く残っている。そして、幅広い世代の消費意欲を取り込もうと様々なアイデアがあふれている。