《めてみみ》混沌とした未来

2019/07/01 06:24 更新


 2019年はSF映画「ブレードランナー」(82年公開)の舞台となった年だ。ここで描かれた無国籍で退廃的、混沌(こんとん)とした近未来都市のイメージが、その後の映画はもちろん、様々なカルチャーに与えた影響は計り知れない。原作はフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』。

 映画では他の惑星で人間の代わりに過酷な労働を強いられていたレプリカント(人造人間)が反乱を起こし、設定された短い寿命を伸ばしてもらうため地球に侵入。それを専門捜査官である主人公のハリソン・フォードが追跡していくが…

 現在、日本社会では「AI(人工知能)によって人間の仕事がどんどん奪われていく」という危機感をあおるニュースも目立つ。地方では少子高齢化が加速し、人手不足が深刻。それを補完する役割をロボットが担う生産現場も増えた。業種によっては無人に近い工場もある。

 ファッション業界でもロボットアームや自動搬送機、デジタル化したミシンなどを駆使した「スマートファクトリー」が注目される。企画や販売現場でも3D採寸機をはじめ、AI、VR(仮想現実)など最先端のデジタル技術が活用され始めた。だが、デジタル技術を使いこなすのは、あくまでも人間のはず。ファッションの未来を変えるのも人間であってほしい。



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