夏になると、げたを履く。東京の下町の履物屋で購入したのがきっかけだ。近所をぶらつく時などとても重宝する。底の薄いビーチサンダルは足の裏が痛くなり、逆に厚いスポーツサンダルは汗で蒸れる。
だが、げたは檜(ひのき)や杉でできているので蒸れない。足裏が当たる面がカーブになった、底に歯がなく、ゴムを張ったタイプを選べば音も立たず、扁平(へんぺい)足気味の足でも疲れにくい。難を言えば、少しやぼったいことくらいか。
新宿のビームスジャパンは、日本各地の自治体や産地で見つけた工芸品や産品を、セレクトショップの目利きを使ってプロデュースして売る店だ。先日オープン3周年イベントを取材すると、大分県日田産のげたを売っていた。
手頃な値段の日常的に使うげたを作る小さな工房にビームスが目を付け、底にフットベッドのソールを付けるアイデアやデザインを提供し、鼻緒の色も黒以外に赤やオレンジ、青などポップな色にアレンジして商品化した。
げたは3年で4000足売れた。協業の話を持ちかけた際、この工房を営んでいたのは老夫婦2人だったが、ヒットした結果、親族が後を継ぐことを申し出て存続が決まったという。昔からあるものに現代的な解釈を加えて需要を活性化した好例だ。個人的にもジーンズに合わせて履けるげたが見つかってうれしい。