《めてみみ》量から質へ

2019/05/29 06:24 更新


 中国上場素材メーカーの18年12月期決算をみると、大手に収益が集中しているのが分かる。例えばポリエステルを原料から一貫生産する栄盛石化は売上高914億元、営業利益26億元で営業利益率が2.8%となっている。4000万トンの石化プラントを建設中のため営業利益率は低いものの堅調な業績を維持している。

 第3位の恒力石化の営業利益率は9.3%あり日本の素材メーカーより高い水準にある。各分野の大手の営業利益率はナイロンの神馬実業が8.9%、華峰スパンデックス12.9%、レーヨンの三友化工14.4%、天然繊維系ではニットの申洲国際21.2%、天虹紡織9.0%など。20%超の企業もある。大量生産によるコスト削減もあるが、収益を得るための価格コントロールがしっかりできているのかもしれない。

 ポリエステル第3位の恒逸石化は自動化、デジタル化、クラウド計算の活用による新たな製造モデルを構築している。さらに長期的な観点から高品質な製品を研究し、「製品の多様化、シリーズ化、品質の向上、独自化」を実現したとしている。浙江大学、南京工業大学、東華大学とプラットフォームを作り、新技術の確立を目指しているという。

 大手が質の部分でも投資を拡大中だ。量から質へ、中国の素材メーカーがどう変わっていくのか目が離せなくなってきた。



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