《めてみみ》岐路に立つ

2019/05/28 06:24 更新


 百貨店のECが岐路に立たされている。これまで全てのカテゴリーで、やみくもにアイテムを広げてきたが、専業大手と同じ土俵で競争するのは難しくなった。店頭を起点としたECの在り方が改めて問われている。

 百貨店の今後の成長戦略にとって、ECは大きな課題であることに変わりない。店舗事業は新規出店や増床による売り上げ拡大の余地がほとんどない。顧客の利便性を高めることで買い上げ額を底上げしたり、新たな事業領域を拡大することで収益を向上させる必要がある。その一つがECだ。

 もっとも、EC売り上げの現状は中元・歳暮がほとんどで、初期段階から脱していない。三越伊勢丹は「伊勢丹新宿本店で扱っている商品を全てオンラインでも買えるようにする」というが、現状のEC掲載商品は店頭の2割に過ぎない。SKU(在庫最小管理単位)で3000万を超える商品を一元化するのは、まだ時間がかかる。

 顧客はECと店頭を自由に買い回る。日本は米国に比べてオンラインで情報収集し、店頭で購入する比率が高い。それだけに、ECからの商品情報の発信や店頭と同様のコンサルティングを通じた顧客との情報のやり取りが決め手となる。ITを活用して一人ひとりの顧客に最適な買い物体験を提供することは、今後の百貨店ECの再構築に欠かせない。



この記事に関連する記事