「地方の専門店は情報発信力を持たないと、これからは厳しいだろう」。郊外型SCが主力立地の専門店チェーンの社長にこんな話を聞いた。全国区ではない、地方都市に出店しているような小規模チェーンは客に自店の情報を伝える手段をもっと工夫する必要があるという。
今は客のほとんどはスマートフォンで得た情報をきっかけに来店し、買い物をするようになっている。つまり来店動機を作る導線が都心だろうが郊外だろうがすでにネット上に移ってしまっている。
地方の中小専門店には「手書きのメッセージで来店を促すか、ごく親しい顧客にメールなどで入荷商品を告知するくらいが精いっぱい」のところもある。もちろん、そうした取り組みにも一定の効果は見込めるし、時としてアナログの伝え方のほうが意表をつく場合もある。
一方、リアル店の会員情報とECの買い上げデータを使い顧客に向けた情報を伝える仕組みでは、大手専門店のほうが圧倒的に有利だ。モデルやタレントを起用して商品イメージを目立つ形で伝えることも出来る。
だが、大手専門店チェーンが消費者のニーズ全てを満たしているわけではない。地域密着型だからこそ見つけられる隙間もあるだろう。冒頭の社長は「だからこそ、地方の専門店もデータを生かした情報発信の方法をもっと工夫すべき」という。