8年ぶりにタイで総選挙が行われた。14年、軍によるクーデターで軍事政権が成立。陸軍大将のプラユット氏が首相に就いた。
民政移管に向けた今回の下院総選挙の定数は500。そのうち350の小選挙区の暫定結果が発表された。プラユット首相を支持する親軍勢力と01年、05年、11年の選挙で大勝したタクシン元首相派との対決に注目が集まった。タクシン派が第1党にはなりそうだが票が思ったほど伸びず、2位の親軍政党と大きく差はつかない見通しだ。今回の選挙制度が軍政下で定められ大政党に不利なこともあるが、ここ数年の安定成長が一定評価されたのではないか。
クーデターが起きた14年こそ実質GDP(国民総生産)成長率は1%を割ったが、その後は3%台で安定、18年は4.1%増と堅調だ。大洪水や反政府デモ、軍事政権樹立など「タイでは毎年のように何かが起きる」と、日系繊維企業は事業安定に苦労していただけに政治の安定を望む声は強い。
しかし軍事政権による安定は真の安定ではない。今回の選挙の結果、親軍勢力が連立政権を樹立してプラユット首相が続投する可能性が高いが政治は不安定になる。
タイの日系企業は、既存事業では大きく伸びないため新たな事業や高度化などを模索中。一方で周りの東南アジア諸国との競合は激しさを増す。タイ拠点の役割と存在意義が問われる。