《めてみみ》グループウェアの功罪

2019/02/21 06:25 更新


 「社内メールでの伝達事項や文書の配信がやたらと増えた」。ある企業に勤める知人が苦笑する。

 その会社は最近、ウェブで各種届け出やスケジュール管理、情報共有などを行うグループウェアを導入した。紙の届け出などの作業を減らして経費削減につなげ、業務効率を高めるのが目的だ。知人も「スマホでいつでも作業できるため、便利になった」と効果を話す。

 一方で、「これまで口頭で済んだ内容のメールでのやり取りが増えた。メールが多過ぎて重要な情報を見落とすこともある」とも。「できる限り、顔を合わせたコミュニケーションを取りたい」という。

 グループウェアを導入するSCが増えている。テナントスタッフ不足も深刻化するなか、施設への申請などスタッフの付帯業務を省力化し、本業の接客に集中できる環境を作り、CS(顧客満足)向上につなげるのが目的だ。「テナントからは好評で、効率も上がった」というSCは多い。

 ただ、施設側とテナントとのコミュニケーションがグループウェアの導入によって希薄になってしまっては意味がない。スタッフの悩みの相談はメールだけではできない。多くのSCは「スタッフの付帯業務を減らす分、直接コミュニケーションできる時間を増やしたい」という。ウェブは便利だが、アナログも大事にしなければならない。



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