《めてみみ》揺らぐ常識

2019/02/15 06:24 更新


 セールに対する作り手、売り手の意識が変わり始めた。〝セール催事〟の集客力の低下が言われていたが、それでも数年前まではセールの開始時期、つまりは早期化が大きな話題だった。ところが、今冬はかなり関心が薄れて見えた。

 時期よりも、プロパー品との併売を戦略の重点にした供給者が多かったのではないか。「セールは2ケタ近い前年割れ。一方でプロパーは2ケタ増」とA百貨店のキャリア向け婦人服担当者。他の百貨店でも同様だったと聞く。セールに対する消費者の意識変化に対応した供給側の併売戦略が、プロパーの伸びを後押ししたのだろう。

 A百貨店によれば、前年実施していたセールを止めて、プロパーのみで1月の売り上げを伸ばした婦人服ブランドがある。最も販売したアイテムはドレスで、次いでスカート、ニットの順。冬はコートで稼ぐという〝常識〟から脱却したMDで成果を上げた。シーズンMDの考え方にも変化がうかがえる。

 価格帯の常識も揺らぐ。婦人コート商戦で、複数の百貨店が共通して指摘していたのが、中心価格帯が低調だったこと。こうした現象を見聞きすると、ボリュームマーケットを対象にした〝マスMD〟が年々通用しなくなっていると感じる。自店の対象顧客の需要を再度分析し、独自のMDを確立することが求められている。



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