SCの開発が鈍化している。日本ショッピングセンター協会(SC協会)の調査によると、今年1年間で開業したSCは37施設(昨年は48施設)となり、3年連続で前年の開業数を下回った。年間開業数が40施設を切ったのは、11年の東日本大震災の影響で開発ペースが大きく減速した12年の35施設以来だ。
一方で閉鎖したり、業態転換などでSC協会が規定するSCの基準を満たさなくなった施設は30に達した。今年末のSC総数は3224施設で前年比7施設の増加にとどまった。拡大してきたSC市場が大きな曲がり角に入ったことを改めて示す。
地方など「SC空白エリア」はまだあるとはいえ、施設間競争は激しい。ECやフリマアプリの拡大もヤングレディスを中心にSCの売り上げに影響を与えている。SCの開発が鈍化しているのはこうした市場環境の大きな変化が背景にある。
SCに限らず、商業施設、小売業はECの拡大を前提とし、「リアルな場」として価値をさらに追求しなければならない。特性や強みを鮮明にし、客のニーズの変化に対応しながら接客やサービスなどを通じて客がその場でしか体験できない喜びや感動を提供することが不可欠だ。来年10月の消費増税で、ファッションを含めた需要の減速が懸念される。だからこそ、こうした姿勢と新たな仕掛けが求められる。