一昔前なら外国人技能実習生といえば、ほぼ中国国籍だった。繊維産地でもスーパーなどで固まって買い物をする姿がよく見かけられた。きれいな中国語を聞いて、北の出身だろうとか、よく分からないが南部の出身者かなと想像したものである。
中国が経済発展するにつれて、年々様相が変わってきた。昨年末の統計ではベトナム人が45%を占め、中国は28%まで減少した。フィリピンが10%、インドネシアが8%と東南アジアも増えてきた。経済的理由以外にも、価値観の変化だろうか、国内外関係なく地味な工場勤めを嫌がる若い人が増えてきたとも聞く。
国籍の変化だけでなく、昨年の法改正により優良事業者への優遇措置とセットで、実習生への差別的待遇の禁止などが盛り込まれた。寄宿舎に居住する従業員に対し、外出時に管理者が事前承認を取る行為なども禁止され、休日に観光名所などを回る行動的な人も増えてきたようだ。
「いつも晩酌している子が1人いるんですよ」との話を聞いた。ゴミの分別収集場所に置かれた缶・瓶の数で晩酌の本数がわかるのだという。遠い異国の地で黙々と働く外国人に支えられている国内工場は少なくない。「何を思いながら1人で飲んでいるのでしょうね」と優しげな工場長は心配する。願わくば楽しいお酒であって欲しいものである。