かつてワインは高級品だった。もちろん今も高級品は多いが、そこそこおいしいワインを1本数百円で買えるようになるとは想像もしなかった。
国内のワイン消費量は急増し、過去最高を更新中。ブームは何回もあり、今は第7次ブーム中だ。ずっと順調だったわけではない。98年ごろから約10年減り続けた。市場の縮小から拡大への転換点は、日本とチリのEPA(経済連携協定)だ。07年に発効し、ワインへの関税は徐々に下がり、チリワインが一気に広まった。
日本とEU(欧州連合)のEPAが17日、署名され、来年早々の発効を目指す。日欧EPAは世界の貿易総額の約4割を占める規模。発効後、繊維・繊維製品への関税は即時撤廃され皮革製品や靴、毛皮などは段階的に関税率が下がり、11年目か16年目に撤廃される。輸出にも輸入にもチャンスが生まれる。
日本の靴メーカーが共同で欧州で展示会を開き、日本製革靴の売り込みに力を入れる。日本製が残っているうちに「高品質」とのイメージを活用しないと、もう後がない。こうした動きがもっと出てきて欲しい。
チリなどの低価格ワインが広がる中、国内のワイン製造が落ち込んだかといえば、そうではない。市場拡大に伴い07年ごろから増えている。ファッション商品はどうか。環境は厳しいが成功モデルは作れるはずだ。