《めてみみ》実直な物作り

2018/05/18 05:30 更新


 英国のEU(欧州連合)離脱を控え、英国ファッション業界に関する懸念の声が聞こえてくる。それはEU離脱に伴う関税の変化を吸収できるのかというものだ。

 英国はEU離脱後もEU関税同盟にとどまるとも言われ、今後の状況は不透明。しかし、中規模クラスの工場を持つブランドが、ビジネスへの不安から豊富な資金を持つ企業との提携も視野に入れていると聞く。

 英国王室御用達に代表される英国製品には、歴史に試されたクオリティーや質実剛健なイメージがある。スコットランドのカシミヤニット、ノーザンプトンのシューズなどがその典型だろう。実直な物作りへの評価の一方で、英国の人件費の高さもあって、デザイナーブランドなどの小ロットの製品は高額になりがち。そこが国際競争力のネックでもあった。

 状況は異なるが、日本の生産現場も今はなかなか大変な時期。「技術の高い縫製工場に有力ブランドの受注が集中して、若手デザイナーの小ロットのオーダーが入らない」とあるデザイナー。日本のデザイナーにとって、日本製によるクオリティーの高さはストロングポイントの一つ。それだけに、安定した生産ロットを継続してオーダーできるかが工場との関係で大切になる。

 東西にかかわらず、優れたクオリティーをどうプロデュースしていくかが問われている。




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