《めてみみ》魅力の見つめ直し

2018/05/08 04:00 更新


 地方百貨店の構造改革が待ったなしだ。衣料品不況などの影響で、ここ1~2年の売り上げ減による収益悪化が急速だ。定借テナント導入による直営面積の縮小など運営コストの削減が広がっていたが、一段の事業の選択と集中が避けられない。

 創業318年で、百貨店として70年の歴史がある大沼(山形市)が投資ファンドの支援を受け、4月末から新経営体制で再出発した。山形、米沢の2店の営業を継続し、食品などの改装に着手する。地元生産者と協業して食領域を強化し、行政や商店街など地域との連携で街の活性化に結び付ける狙いだ

 東北では、さくら野百貨店仙台店が17年2月、中合が運営する十字屋山形店が18年1月に閉鎖しただけに、大沼の存続が決まり、地元商店街では安堵(あんど)の声が聞かれた。もっとも、地方百貨店の生き残りは簡単ではない。

 新たに投資する余力がない店舗が多いからだ。当面のPOS(販売時点情報管理)システム更新の費用の捻出でさえハードルが高い。建物の減価償却が終わった店舗でも、耐震工事が完了していなければ、新たな大規模投資に迫られる。

 一部の地方百貨店を除き、自力での再生は難しい。地方・郊外店の画一的な事業モデルはないだけに、店舗の特性に合わせ、上質な商品やサービスといった百貨店の強み、地域の魅力の見つめ直しが必要だ。




この記事に関連する記事