百貨店の今夏クリアランスセールは、開始時期が例年並みの6月27日とそれよりも3週間遅い7月18日に大きく分かれる。もっとも、セールの売り上げや集客力は年々縮小・低下傾向にある。開始時期の先行後行を問わず、長く暑い夏に対応してプロパー販売を強化する考えに変わりはない。
24年夏セールを後ろ倒しした松屋銀座本店は「遅らせたのは本来の実需期に正価販売の機会を確保し、適時適品適価の品揃えで販売機会ロスを防ぐため」という。24年7月の売り上げは正価品が2ケタ増で、セールの落ち込みを補った。今欲しい夏物で色とサイズが揃った正価品を選ぶ傾向が強まっており、今夏のセールも同様の考えだ。
先行実施する店舗はSCなど競合店との対抗策で、例年通りの開催時期を決めた。ただ、早期に切り上げて正価品の品揃えを強化する。取引先も顧客向けのプレセールやセールと同率のマークダウンを6月中旬から実施し、セールの短期集中型の傾向を強める。
7月や8月に正価品を新規投入し、売り場の鮮度を高めるブランドが多い。セール中でも値下げしない商品や、定番品を長い期間で売り切るブランド・商品企画も増えている。生産や在庫のコントロールと、消化率を高める戦略への転換が広がる。実際の気温や季節感とMDのずれを修正し、商品の価値向上につなげていく。
