《めてみみ》継ぎ目をなくす

2018/04/10 04:00 更新


画像はイメージです

 あるセレクトショップが自社ECを強化するため、経験豊富な販売員をEC上での客とのコミュニケーション担当に異動させようという話になった。しかし、本人と話すと「ECよりリアルで頑張りたい」と返されたそうだ。

 ネットとリアルどちらで売れても会社の収益だし、対立の構図で考える問題ではないのだが、自分の働く店がなくなるのは困るという感情論が出てしまうらしい。

 ユニクロは英国の店舗でネットで購入した商品を指定した店舗で受け取るクリック&コレクトを導入しているが、導入していない店に比べて2~3割売り上げが上がったそうだ。試着してから買えるメリットに加え、受け取るついでに別の商品も買う客の確率がかなり高いという。

 ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「クリック&コレクトで頻繁に使われる店ほど成績が良いのは、お客様と店との結びつきがもっと強くなるからで、ある意味、うまくECを利用する方がリアル店はこれから強くなれると思う」と話す。

 冒頭の店とは違うセレクトショップは、販売員がネットに挙げたスタイリング提案がECでの購買に結びついた回数も評価基準に加えることにした。客にとってストレスのない買い物環境を整えるだけではなく、売り手のやりがいもリアルとデジタルの継ぎ目をなくす必要がある。



この記事に関連する記事