《めてみみ》10年の変化

2018/04/06 04:00 更新


20回目を迎えた阪急メンズ大阪のナイトイベントの様子(今年2月撮影)

 阪急メンズ大阪が今春、開店10周年を迎えた。店長によれば、この10年の一番の変化は「40~60代アッパーマーケットのファッションに対する関心度が非常に高まったこと」。10年でメンズファッションの消費市場が変わったということだろうか。

 10年前。百貨店メンズ市場は、妻や母による代理購買の売上高が、まだまだ大きかった。当時の記事を読むと「開業前は『予算達成は難しいのでは』との声が社内外から出ていた」とある。阪急うめだ本店から離れた別館で女性客の代理購買が期待できないためだ。

 ふたを開けてみれば、「男女の幅広い新規客」を呼び込んで、開業初年度の売上高は予算を上回った。その後も着実に売り上げを上乗せしてきた。社会環境の変化も後押ししていたと思う。女性の社会進出や共働き世帯の増加は、代理購買の縮小につながる。男性自ら購入せざるを得ない状況下で、自ら学び選択購買してきた過程がうかがえる。

 「ナイスガイ・メーキング」をコンセプトとする同店が、学びを支援してきた側面もある。冒頭の言葉は、その現場を見続けてきた実感だ。今、代理購買という言葉は聞かない。今後、ファッションのコモディティー化が進むのか、それとも高い関心を示す層が増えていくのか。作り手、売り手の意思次第で変わるもの。そう教えられた気がする。



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