《めてみみ》フラリーマン

2018/01/25 04:00 更新


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 安倍晋三首相は施政方針演説の中で企業に対し「働き方改革」に取り組み、長時間労働を是正するよう求めた。電通の過労死事件をきっかけに、働き方改革が経営課題の一つになってきたが、実際改革は進んでいるのだろうか。

 大手ハンバーガーチェーンの店長が「自分は労働基準法上の管理職ではないにもかかわらず長時間残業を強いられ、残業手当が支払われていない」と会社側を訴え、勝訴したのが10年前。ファッション業界でも「名ばかり店長・管理職」問題が注目を集めた。最近では自動車販売会社の店長が長時間労働が原因で自殺し、遺族が会社側に慰謝料などを求め和解が成立した。部下の残業を肩代わりするなどで時間外労働が増えていたらしい。

 「フラリーマン」という言葉が生まれている。会社から残業削減を求められた社員が、まっすぐ家に帰らず寄り道して時間をつぶしている。働き方改革で、長時間労働を生む労働環境が改善されるのではなく、中間管理職が部下の残業を肩代わりせざるを得ない〝しわ寄せ〟に至るのでは、解決にならない。

 働き方改革は、誰の、何のための改革か。SNS(交流サイト)などを通じて情報が一気に拡散するのが今。利益のために社員を犠牲にする企業はすぐに「ブラック企業」のレッテルを貼られる。そうなると企業存続自体が危うくなる。



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