百貨店は都心店でインバウンド(訪日外国人)や高額品の需要で業績が上向いている。一方で、地方・郊外店は〝特需〟の恩恵が乏しく、減収に歯止めがかからない。そんな中、地域密着で街の顔となった地方百貨店がある。
東京都心から北西60キロ、埼玉県熊谷市の八木橋はその一つだ。人口20万人弱の市で、年商150億円規模を維持する。自社ポイントカード10万人、友の会5万人の組織顧客を有し、地元の購買率が高い。
地道な営業活動とともに驚くのが休日の多さだ。17年度の店休日は19日で、冬季(18年1月11日~3月6日)は営業時間を午前10時~午後6時30分に短縮している。一直勤務による従業員のモチベーションと接客の向上に結び付ける。
地方から百貨店の灯を消すな、と街ぐるみで藤丸を応援するのが北海道帯広市だ。藤丸を応援するサポーター制が06年にスタートし、行政、経済界、商店街をはじめ幅広い市民を巻き込んで「街なか再生プロジェクト」として中心市街地のにぎわい創出の活動を続ける。
人口減や大型SC、ECとの競合はもちろん、取引先からの逆選別で適品確保に苦しむ地方店を見てきた。しかし、百貨店には地域で欠かせない機能と役割がある。外部要因を理由にするのでなく、今できることはいくつもある。地域と一緒に歩むしか再生の道はない。