年末に上海で京劇「玉堂春」「真贋の二人悟空」を鑑賞した。京劇ファンの知り合いによれば、いずれも典型的な京劇だという。当日は数人のダフ屋が劇場の周辺にいた。観客の平均年齢は高かったが、家族連れもいた。
玉堂春は冤罪(えんざい)で死刑になる寸前の女性が、科挙に合格して任官してきた昔の恋人に救われ、めでたく2人が結ばれる話。約2時間半の作品は休憩なしで上演された。その大部分を女性が1人で歌っていた。舞台の上には机と椅子2脚しかない簡素なもので、これが色々なものに見立てられ話は進行していく。動きの少ない京劇だった。
京劇は英語では北京オペラと言われるように出演者は演技だけでなく歌も歌う。カーテンコールに出てきた女優は、声が不調だったことをわびた後に拍手に応えてアンコール曲を1曲歌った。好感のもてる女優だった。
もう1本は西遊記。こちらは本格的な舞台装置だった。三蔵法師の前に偽物の孫悟空が現れ通行証を奪おうとする。2人の孫悟空が派手な立ち回りをするので中国語が分からなくても楽しめる作品だった。こうした中国の伝統文化が日本で紹介される機会は少ない。中国で日本文化に触れられる機会も少ない。様々な事情があるのだろうが、今年は日中平和友好条約締結40周年。両国の文化交流が盛んになって欲しいと思った。