《めてみみ》未来のための先行投資

2018/01/04 04:01 更新


 「財布のひもは決して緩んでいない」とアパレル企業のトップ。「表面的には一服しているように見えるが、本質的なところは変わっていない」。百貨店のトップも、中間層の消費は依然低調で、今年も郊外店の売り上げ回復は難しいとの見方だ。

 とはいえ、各経営トップの表情は以前と比べると明るくなった。株高による資産効果もあり、富裕層を中心とする高額品消費が戻ってきていること。インバウンド(訪日外国人)という「新規客層」による消費が今年も見込まれているからだろうか。将来に向けた投資意欲も高まっている。

 「ミレニアル世代をにらんだ顧客コミュニケーション戦略を検討する」と、ある百貨店。デジタルネイティブと言われる同世代は、既存顧客層の購買行動とは全く違うとみているからだ。実店舗の重要性は変わらないが、既存自社カード顧客とは違う接点の持ち方が問われると話す。

 会計やマーケティングなどビジネス感覚を磨くための中間管理職の再教育を開始する百貨店もある。あるアパレル企業は「継承と革新」を掲げて、モノ作りの深掘りの一方で、工場と消費者をつなぐ「新しい仕組み」を検討している。

 現状課題の解決に終始するだけでなく、未来を見据えて先手を打つ。前向きな先行投資が、経営と社会の活性化につながる、との意識が高まっているようだ。



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