年末から年始にかけて、経営トップの方々に取材する機会が多い。前年の振り返りと次の年の戦略についてうかがうが、取材を進めると、よく次代を担う人材をどうやって育てるか、その方法論に話が及ぶ。
方針や課題について考えるとき、経営者は往々にしてその会社を支える人材をどう作るか、という根っこの問題に行き当たるからかもしれない。優れた経営者は、その会社に必要な人材を育てるために、たいてい同じことをしている。
それは、会社のスタンスややるべきことについて何度も、機会あるごとに繰り返し話すことだ。口を酸っぱくして伝える内容は「何のために会社があるのか」とか「今より良い仕事をするには何が必要か」とか、経営に関する基本的な考え方で共通している。
アーバンリサーチの竹村幸造社長は「社長がまた同じこと言ってるって思われるくらい繰り返してもまだ足りない」と言う。ファーストリテイリングの柳井正会長も働く心構えについて「毎日、言ってます。同じことを社員全員が部下や同僚に言うようになるくらいまでやらないといけない」と話す。
ちなみに、ここに登場したトップは取材で何度、いつ聞いても、ベースになる基本のスタンスは一切ぶれない方々だ。大切なことは、伝わるまで、たゆまず話し続ける。企業を成長させる基本と思う。