《めてみみ》花形産業の明暗

2017/12/14 04:00 更新


今秋、稼働した「関西ゲートウェイ」

 ヤマトホールディングスが今年の秋、西日本の物流拠点となる「関西ゲートウェイ」を大阪にオープンした。グループ十数社が結集し、日本最長の連結トレーラーや最新鋭の搬送機などを導入した大型施設だ。人手不足などを背景に物流問題がクローズアップされるなか、倉庫、陸運、総合商社などがこうした大型投資を積極化している。

 場所は大阪市中心部から少し離れた茨木市にあり、市街地にも近い。かつて大型物流拠点といえば、郊外で高速道路へのアクセスを優先した立地が主流だったが、EC物流の増加などを背景に「ラストワンマイル戦略」が重要視され、大都市圏に近い物流拠点が急速に増えてきた。

 かつてここには、松下電器産業(現パナソニック)のテレビ工場があった。約半世紀前に操業を始めた同社のテレビ事業発祥の地だ。薄型テレビの主力工場だった時期もある。思えば、大手EC企業が今秋、近隣に設けた物流センターも、かつては別の名門家電メーカーの配送拠点だったはずだ。

 薄型テレビが日本の技術の象徴のように言われたのが2000年代半ば。あっと言う間に新興企業に追い付かれ、輝きを失ってしまう。繊維・ファッション業界も言うに及ばずである。何年か後、明暗を分けたキーワードの一つが物流問題だったと振り返る日が来るような気がする。



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