《めてみみ》生き残れる場所

2017/12/05 04:00 更新


画像はイメージです

 アーバンリサーチの竹村幸造社長に取材する機会があった。出店に関する考え方として、こんな話をしてくれた。「景気が良いときは、駅に近い所からその周辺に店は増えて街が広がる。悪くなると、駅から遠い場所の店から潰れて、再び駅周辺に街が集約されていく」。

 「景気がどんなに悪くてもターミナル駅だけは街の起点として残る。特に地方都市はそういう波を繰り返してきた」。だから、同社は270以上ある店の「60~70%が駅に近い立地」にある。

 セレクトショップとして今年で20年目の同社が売上高600億円を超えるまで成長できた理由の一つは「どこなら生き残れるか、場所を考えて店を出してきたから」だそうだ。

 リアルの出店に対する同社の考え方は、ネット販売に積極的な姿勢にもつながっている。アーバンリサーチのネット販売が売上高に占める比率はすでに2割強ある。これからはネットに人が集まる「場所」になるとの情勢分析から取り組みを強化してきた結果だ。

 今後、ネットに購買の主力が移っても、ターミナル駅周辺は商圏として残る。日常の移動の起点として人の往来が絶えない場所だからだ。その条件を満たしていない立地にもリアルの店や施設は多くあるが、こちらは今後、人がわざわざ足を運ぶ理由を作り出さない限り生き残りは難しいかもしれない。



この記事に関連する記事