中国で接客ロールプレイング大会を見る機会があった。南京の水游城で行われた大会では飲食、物販に分かれて審査が行われ、2年間にわたって毎月研修した結果を競った。きっかけは総経理が、店内で見かけた店員の対応が、あまりにも悪かったため。
研修2年目に入り、研修を受けている人と、受けていない人の差が明らかになるにつれ、水游城の関係者からも評価の声が上がり始めた。ただ、そこへたどり着くのには苦労があったそうだ。研修をゲーム型に変えるなど分かりやすい形にしたり、店舗全体を巻き込むような仕掛けにした。
サンキューカードを作り、研修の時に仲間同士でどんな小さなことでも感謝の気持ちを表すようにもした。コミュニケーションがうまくとれるようになるためだ。こうした意識付けをした結果、仲間意識やチーム意識が醸成された。
服の販売員になって15年の参加者に、研修後に一番うれしかった出来事を尋ねると、「一度買ったお客さんが、2度目は友達を連れてきて私に接客を任せてくれたこと」と教えてくれた。
中国でも商業施設の同質化が進んでいる。水游城の総経理は「商業施設が生き残るにはサービスの向上が不可欠」と強調する。今後も研修は続けていきたい考えだ。研修を行っているのは日本企業。日本式のサービスが広がることを期待したい。