《めてみみ》地方店の志

2017/11/17 04:00 更新


金沢駅(Phuong D. Nguyen / Shutterstock.com)

 連休を利用して、長野、金沢へ旅行した。東京では秋が深まるのはまだ先のようだが、信州、北陸はもう秋真っ盛り。兼六園の木々も色づき、青空に映えていた。

 金沢で目立ったのは、外国人観光客の姿。兼六園や武家屋敷周辺には、英語だけでなく、スペイン語やイタリア語が飛び交う。中国人観光客が団体でバス移動するのに対し、欧米からのツーリストは徒歩がほとんど。北陸新幹線の開通で、飛騨高山と金沢を経由して、京都に向かう観光客が増えたと聞いた。

 長野でも金沢でも感じたのは、地方のお店の奮闘だ。ファッションに敏感な人々が東京ほど多くはない地方都市で、デザイナーブランドを販売する店のスタッフの志に触れることができた。そして、そんな人たちが街の文化の一端を担っている。

 金沢では新幹線の開通と同時に駅周辺の整備が進んだことで、中心部の地盤沈下が懸念された。そのため、街の中心部に新たなショップを誘致したと聞く。駅の開発が進み、そこで買い物が完結するようになると、街の文化が衰退する。便利さを優先しすぎると、街の持っている魅力が失われることがある。

 兼六園や近江町市場、21世紀美術館など金沢の魅力は伝統と新しいものが交ざり合う街並みにある。全国各地で開発ラッシュが進む中で、改めてこの国の未来を考えさせられた。



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