《めてみみ》育つ若手ブランド

2017/11/10 04:00 更新


18年春夏コレクションから 上段「サカイ」/「アンダーカバー」合同ショー、下段左から「リョウタムラカミ」「アキコアオキ」「ケイスケヨシダ」

 10月中旬に行われた18年春夏のアマゾン・ファッション・ウィーク東京では、「サカイ」と「アンダーカバー」の合同ショーや、ブランド設立20周年の「トーガ」の凱旋(がいせん)ショーが注目を集めた。こうした華やかな話題に隠れがちだが、東京コレクションを継続して取材している身には、立ち上げから数年の若手ブランドの成長も大きな収穫だった。

 「アキコアオキ」「ヨウヘイ・オオノ」「ケイスケヨシダ」「リョウタムラカミ」などが、その代表格だ。このうち3ブランドは、ほんの1年半前まで、パルコの支援を受けつつショーとは呼べないクオリティーのショーをしていた。「支援に甘え過ぎ」といった厳しい声を糧にして、きっちりステップアップしてきたところが頼もしい。

 クリエイション面は成長したとは言え、ビジネスはどのブランドもようやくスタート地点に立ったという程度。新進ブランドを買い、支える国内の店は減る一方だが、アキコアオキは香港のレーンクロフォードが新規で決まったといい、ビジネス面もなんとか一歩ずつ前進させている。

 ファッション消費の低迷は続くが、こうした時代の中では、初期衝動としてファッションの楽しさを伝える新進ブランドの商品に説得力が宿る。これらのブランドの中から、10年後のサカイやトーガが出てくることを期待したい。



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