《めてみみ》時代観を映す

2017/11/06 04:00 更新


18年春夏コレクションでナチュラルでラスチックな表情を見せた「ロエベ」=左=と人口的な素材や光沢を生かしたスタイリングを披露した「シャネル」

 18年春夏トレンドは、ナチュラルとケミカルの二つの要素が軸だ。ナチュラルな素材や粗野にも感じる風合いを生かした飾らない日常着と、その対極にある人工的な素材を付与したスタイルも広がっている。

 メンズテーラーリングのマスキュリンな要素や英国調の生地を取り入れた秋冬トレンドから、ぐっとフェミニンな方向へと転換したシーズンだ。その女性らしさに強さを加えるのが、粗野なタッチやケミカルな効果ということなのだろう。

 布使いにも特徴がある。スカーフのようなスクエアな布を垂らしたり、バイアスに布を流すといったテクニックが増えた。レイヤードにも新しさが現れた。ドレスの上にブラトップのようなアイテムを重ねたり、ドレスの下にタンクトップのようなパーツを差し込んだりする重ね着だ。2着の服をくっつけて二つの着方が楽しめる服、二つのアイテムを合体させて一つのアイテムへと変化するようなコーディネートも新しい。

 変化に乏しく感じたシーズンだが、新しい提案もあった。その中心にナチュラルとケミカルの二つの軸がある。人工知能やモノのインターネット化などの技術革新と、その対極にあるように思える手仕事の持つ温かみ、それぞれの価値をどう生かしていくのか。デザイナーたちがそんな時代観を提示をしているように思えてくる。



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