《めてみみ》時代に応える

2017/09/15 04:00 更新


 18年春夏ニューヨーク・コレクションが佳境に入った。今シーズンは、有力ブランドがパリへと発表の場を移したことで、ニューヨーク全体の求心力は下がった。出張期間を減らしたり、出張しなかったりというバイヤーやジャーナリストも多い。

 ニューヨークに続いてスタートするロンドン・コレクションも、実は今がちょうど過渡期。数年前に相次いでデビューした若手ブランドの勢いもひと段落して、ビジネスとして次のステップへと進めるのかが問われている。ニューヨークとロンドンで鳴り物入りで始まった、見てすぐ買えるショー形式「シーナウ・バイナウ」も、継続しているブランドはずいぶん減った。

 他の都市からパリへ進出する流れは強く、まるでパリ一極集中のようにも見える。ただ、パリのタイトな日程の中で、新人が公式スケジュールに入るのは大変なこと。その半面で、老舗ブランドの相次ぐデザイナー交代劇に、ややしらけたムードも漂うため、新人への期待は高い。

 ライフスタイル全体への関心が広がる中で、相対的にファッションへの消費が減っているとの指摘がある。一方で、ファッションコンシャスな人たちの中には「人と違うものが欲しい」というニーズも戻ってきていると聞く。世界のコレクションが、そんな時代のニーズに応えられるのかが問われている。



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