ニューヨークを皮切りに18年春夏コレクションが始まった。発表されたスタイリングをインターネットで確認し、すぐに物作りに生かすのは可能で、ファッションの加速化は進むばかり。
ギャップは3年間で「ギャップ」と「バナナリパブリック」の不採算店を約200閉める一方、「オールドネイビー」やアスレチックウェア業態、収益性の高いオンラインやモバイル事業を大きく伸ばす。
ギャップのドナルド・フィッシャー会長(当時)が86年、自らの業態を説明するために使ったのがSPA(製造小売業)という概念だった。それから30年、SPAは通用しなくなったのだろうか。ザラ、H&Mなどの業績を見るとSPA限界論だけで片付けるには少し無理がある。ギャップが経営の重心を大きく移すように、消費者の買い方や嗜好(しこう)が変わったのだろう。
ただ、店頭の情報を元に追加生産し売れ筋を作るモデルには、「スピード」以外の切り口が必要になったのかもしれない。米国の複数の小売業はインスタグラムなどのSNS(交流サイト)で最新トレンドを追い、すぐに商品の改善を試みている。
何を情報源に商品を作るか。その手法もスピードも変わった。世界のトップ企業がしのぎを削るスピード競争に乗るか、それ以外の切り口で戦うか。中途半端な戦略では太刀打ちできない。