二十四節気は古代の中国で考案された暦である。1年を24に分けたもので、春分や冬至をはじめ日本でも様々な生活習慣に根付いている。二十四節気では処暑を過ぎ、暦の上では暑さも一段落するはずだが、現実には厳しい残暑が続いている。
二十四節気をさらに初候、次候、末候の三つに細分化したものが七十二候。これは日本でも独自の発展を遂げ、一つひとつに季節を表す名称が付く。処暑の初候は、綿柎開(わたのはなしべひらく)。綿を包んでいる咢(がく)が開く季節との意味だ。日本人らしい情緒のある暦である。
年を追うごとに地球温暖化が顕著になってきた。1898年以降、日本の平均気温は100年に1・1度の割合で上昇しているらしいが、特に1990年代以降は急上昇傾向という。このまま進めば、季節感豊かな七十二候も死語になってしまいそうだ。
近年、日本の各地で国産綿花の栽培が進む。各地で咢も次々に開いていくことだろう。国産綿花を手掛ける有志でスタートした全国コットンサミットは、今年は兵庫県加古川市に会場を移す。綿花からの特産品作りを目指す加古川の靴下産地にとって一大プロジェクトだ。秋の爽やかな気候の中での開催を望みたい。11月18日のイベント当日には、地元出身の「大物歌手」も参加するとのことで、楽しみが一つ増えた。