《めてみみ》百貨店の宿命

2017/08/25 04:00 更新


 百貨店には買い上げ率という指標がある。入店客数に対する購買(レジ)客数の割合のことだが、「なかなか70%に届かない」と都心ターミナル立地にある店長が嘆いていた。駅からの通過客や待ち合わせ利用などがあるものの、もう少し伸ばせる余地があるとみている

 買い上げ率の母数となる入店客数の減少に悩む百貨店は多い。母数が減れば基本的には購買客数も減少する。母数を増やすこと、買い上げ率を上げることが増収策と言えるだろう。いずれも簡単に実現できるものではないと先の店長。同店の場合、入店客数は増加している。課題と見ているのが上層階の買い上げ率。「食料品を除くと買い上げ率は33%ぐらいになるのではないか」と話す

 食料品購入客が上層階で買い物することが少ないことは、以前から複数の百貨店が指摘していた。比較的ファッションとは相性が良いと思われる化粧品でも、食料品ほどではないものの買い回りは少ないと聞く。食料品や化粧品が買い物目的の来店で「ついでに服も」とはなりにくいかもしれない

 食品スーパーやコンビニエンスストアには、購買点数や客単価の指標はあっても、100%前後が当然と思われる買い上げ率は指標にしていないはず。多様な品目を扱う百貨店だからこそ買い上げ率が指標となる。購買意欲を喚起する演出が欠かせないのが百貨店の宿命ということだろうか。



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