百貨店のインバウンド(訪日外国人)需要が復調している。観光庁によると、旅行消費額が17年1~6月で初めて2兆円を突破した。1人当たりの旅行消費額は減少傾向だが、訪日客数が2ケタ増。1人当たりの買い物は13万円だった中国人客が際立つ。
訪日客の増加は前年の熊本地震の影響の反動増などが要因だが、円安や中国人の客数が堅調で下支えする。免税売上高は3~5月期で、高島屋が50%増、大丸松坂屋百貨店が37%増。6月以降も2ケタの伸び。「この勢いが続けば爆買いと呼ばれた2年前の水準を上回る」(三越伊勢丹)という。
もっとも、中身は様変わりした。転売業者による爆買いがほとんどなくなって「客単価が下がったが、ノーマルな買い方になった」(大丸松坂屋百貨店)と化粧品など消耗品の高い伸びが続く。高島屋は消耗品以外の一般品が昨年の8%減から3~5月の16%増へ転じ、17年度の免税売上高は前年比30%増の450億円を見込む。
売上高に占める免税額の比率は「今年度に5~6%になり、当面10%をめどに拡大していきたい」(大丸松坂屋百貨店)とリピート客の囲い込みに力を注ぐ。ただ先行きに関しては「どうなるか分からない」(三越伊勢丹)という不確定要素が避けられない。インバウンド頼みで、日本人への顧客戦略が後回しになれば本末転倒だ。