《めてみみ》問われる美意識

2018/05/15 04:00 更新


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 大手百貨店はICT(情報通信技術)を活用した業務改革に着手中だ。三越伊勢丹ホールディングスは20年度までに200億円以上を投資し、ECなど新規デジタル事業を拡大する。高島屋もコスト削減のほか、販促・マーケティング、品揃え・在庫管理の改革でシステム構築を急ぐ。

 先週の繊研ファッションビジネス懇話会で、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』(光文社新書)の著者、山口周氏が講演した。指摘したのは、これまでのデータに基づくサイエンスと、経験を下地にしたクラフトによるビジネスの問題。正解のコモディティー化である。

 一つの例が日本の携帯電話。ガラケーが作り上げた市場は07年の「iPhone」の登場で様変わりした。イノベーションを起こしたスマートフォンは10年後、収斂(しゅうれん)し、再び画一化のジレンマに陥っている。スマホを製造する大手通信機器メーカーはITで膨大なデータを最適化し、「正解」を導いた。

 しかしテクノロジーへの偏重は結果としてコモディティー化による価格競争を招いた。デジタル化による全体最適は必ずしも部分最適にならない。オリジナルの価値を創造するには感性が重要で、米国で広がっているマインドフルネスはその表れだ。ビジネスにおける「真・善・美」の転換が経営者に問われる時代となった。



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